第8回
住環境整備は着工前が重要です
ネットワークによる住宅改修は介護支援専門員(ケアマネ)を
各専門職がサポートする形で行われます。
ケアマネが利用者の住環境整備に問題意識を持ち、
ネットワーク会員に声をかけると、
必ず2名以上の会員が対応にあたります。
なぜ複数で対応するかというと
利用者の自立支援を多方面から援助したいからです。
また、専門性に偏る解決を抑制する意味もあります。
住環境整備を行ううえで、
事前のデータ集めは重要です。
身体状況はケアマネや関係医療機関が把握しています。
しかし、WHO(世界保健機構)でも提唱されている通り、
さまざまな障害因子のひとつに環境因子があり、
利用者の住環境の現状を把握することは重要です。
ネットワークの行う住宅改修では
依頼を受けると、まず、現地調査を行います。
基本的には利用者の生活範囲の間取り図を作成し、
段差や開口部の幅、階段の寸法、浴そうの深さといった
住環境で障害になりそうな部分のデータを書き込んでいきます。
このような現状の把握と利用者の生活動線の把握、身体機能などを
総合し、ケアマネは住環境整備の方向性を模索できます。
建築的な問題点や福祉用具に関してはネットワーク会員がサポートします。
住環境整備の方向性はひとつではありません。
利用者の寝室の変更や模様替えなども有効です。
福祉用具の活用も重要でしょう。
そして、最後に住宅改修になります。
いくつかの方向性に対し、費用の検討が行われ、
ケアマネとネットワーク会員連名で提案書が作成されます。
提案書は事前に地方公共団体に提出され、協議を行います。
介護保険は事後申請ですが、
申請後に審査では、利用者の負担がいくらになるのか確定できず、
後にトラブルになるケースが多いのです。
そこで、事前協議を行い、工事内容と保険金請求の有効性を確認するわけです。
工事完了後は提案書に完了写真を添付し、これを報告書とします。
提案書での事前協議が完了していますから、保険請求は問題なく行われます。
ケアマネは住環境整備の問題提議と理由書の作成を行い、ネットワーク会員と
協議をするだけで、適正な住環境整備を行うことが出来るわけです。
工事完了後の観察をケアマネにはお願いしますが、
問題があった場合のフォローアップも会員は行いますので、
安心してケアプランに住環境整備を盛り込むことが出来るのです。
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