第52回
中庭は凶か吉か
「家相」の本を読んでいると、
家に中庭を造ることは大凶相として忌み嫌われています。
しかし、海外を旅していると中庭は一般的に使われているのに気がつきます。
ヨーロッパの街並みを歩くと、街区に面して建物は建っていますが、
中に入ると想像つかないような中庭があって驚かされます。
「風水」を用いた中国の建物も中庭は一般的ですし、
日本の神社仏閣だって、中庭形式の建物です。
京都御所だって中庭形式で建てられた建物です。
町屋だって中庭が家の気候調節機能を果たしているのです。
アメリカのペンタゴンだって中庭形式の建物であることは判りますよね。
考えてみると、中庭を凶とする考え方は
私の知る限りでは日本の「家相学」だけです。
なぜ、中庭が家相的に大凶相と言われるのでしょう。
「風水」は富と繁栄をもたらすものとして権力者が利用しています。
現代社会においても香港の香港上海銀行と中国銀行が
競って「風水」を用いた設計をしたことは記憶に新しいことです。
鬼門は「風水」の用語ですが「家相学」に組み込まれました。
それなのに中庭に関しての解釈はまったく正反対なのです。
「風水」は権力者の知恵として利用され、「家相学」は庶民に浸透した。
平安京から始まる「風水」による街づくりは、いつの間にか忘れ去られます。
歴史に仮説をたてるのはとても面白いものです。
私は「風水」の衰退は政治が貴族から武士に
移ったことにあるのかなと考えました。
貴族が贅沢三昧をして、世の中は混乱していました。
そのとき、庶民の味方として武士が台頭していくわけですが、
庶民派としては貴族が信仰していた「風水」も
否定すべきものだったのではないか?
その結果、日本において「風水」が廃れていったというのが私の仮説です。
まあ、何の根拠もありませんがね。
いづれにせよ、「家相学」で言う中庭の否定はあまり根拠がなさそうです。
世界的に見たらとても有効な中庭ですし、
私自身は結構好きな空間でもあります。
皆さんはどんな風に感じますか?
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