第277回
ハウジング新潟別冊ビフォーアフター
ハウジング新潟2004は例年より1ヶ月早い発刊でした。
それは朱鷺メッセで行われたスーパーハウジングフェアの開催に合わせたからです。
ハウジング新潟は主に新築住宅を扱いますが、
最近はテレビでもリフォームが大流行です。
リフォーム産業はいまや新築に迫る勢いなのです。
これを無視することは出来ません。
そこで新潟日報社でもリフォーム特集を組むことになりました。
それがハウジング新潟別冊の発行です。
ビフォーアフターはテレビから勝手に取ってきただけで、実際の名前は分かりません。
この別冊本の発行に当たり、私の事務所にさっそく取材の要請がありました。
最近完工したH邸のリフォームがありましたので、渡りに船でさっそく題材提供したところ、
先週末、取材を無事終えることが出来ました。
H邸は11年前に私が手がけた住宅です。
当時Hさんは総勢7名の大家族でした。
限られた空間の中でどれだけ快適な共有スペースを提供し、個々の部屋を確保するかがテーマでした。
スペースを最大限に活用するには断熱を外張りにして、家の形のまま、すべての空間を利用することです。
オープンに空間を利用するには、温熱環境の確保が技術的条件となります。
空間が大きくなるとエアコンやファンヒーターといった空気暖房では対流が起きてしまい不快です。
H邸ではパネルヒーターによる輻射暖房を採用し、家全体の快適な温熱環境を保障しました。
家の規模や住宅性能はそのまま価格に跳ね返ってきます。
資金は有限ですから、施主の希望すべてを満たした住宅を作ることはなかなか困難でした。
そこでコンサルティングしたことは何を最優先するのかを決めることと、家の成長でした。
家は必ずメンテナンスが必要です。
家の寿命は細やかなメンテナンスを行うことで飛躍的に延びます。
一方、気密断熱といった基本性能は着工時に確定してしまい、その後改修をすることは困難です。
H邸ではこうした基本性能を優先しました。
当初、施主はレンガ貼りの外壁を希望していました。
いわゆる防火サイディングといった建材は貼ったときが一番美しいのですが、
それ以降はどんどん汚れていきます。
しかし、本物の素材は経年変化が美しく、結果として長持ちする建材でもあります。
施主の希望したレンガ貼りの外壁は私も賛成でしたがどうしても予算が追いつきませんでした。
一般的な住宅の建て替え周期はなんと20年以下だそうです。
しかし基本性能を満たした家なら、リフォームすることで十分あらゆる変化に対して対応可能であり、
近所の家が建て替えているときにHさんはリフォームすることで対応できたとしたら、
人は2軒の家を建てるところHさんは1.5軒分の資金投下でより豊かな生活を確保できます。
外壁を手直しする時期に来たとき、
家のリフォームとあわせてレンガ貼りにするというのではどうでしょうか?
これが私の提案でした。
そして11年。
あの大所帯だったH邸も子供たちは巣立ち、おじいさまも他界されました。
この秋には長男が結婚し、また新たな世帯がこの家に入ってきます。
家族の変化への対応とともにHさんの頭に新築の時の想いがよぎったそうです。
H邸のリフォームはちいき住宅工房で行うことになりました。
ハウジング新潟別冊は来年の3月に発刊されます。
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