第27回
ちいきが福祉に関わりあうということ
地域福祉の実践にはさまざまな方法があります。
市民によるボランティア組織はその代表的なものでしょう。
日本は今後50年にわたり未曾有の高齢社会を体験します。
高齢者の比率は30%に達し、人的な介護力は絶対足りなくなるでしょう。
社会福祉基礎構造改革により、日本の福祉は大きな転機を迎えました。
従来の発想で行う福祉は限界が見えてきたのです。
今後、まちづくりのテーマは地域福祉です。
地域福祉は特別なことを求めているのではありません。
ただ、地域の最も人口比率の大きい層に成長した高齢者が
自然に街での生活を営めるようにするだけです。
残念ながら現在まで行われてきたまちづくりは
高齢者をないがしろにしてきました。
それは高度成長期の最も人口比率の大きな層に合わせた結果です。
まちは生きていますから、その時代に合わせて形状を変えていきます。
時代時代の要請にこたえているのです。
今の日本は、高齢者や障害者が決して活動しやすいとは言えない地域社会に
福祉は拠点を移しました。
しかし社会基盤整備には時間がかかりますから、
なにかがそれを補う必要があります。
現在は市民ボランティアがそれを行っています。
福祉住環境整備には建築・福祉・医療の専門家の参加が必要不可欠です。
FJC.Nは建築・福祉・医療の専門家に呼びかけ、
各種専門家の立場から地域福祉に関わりあうことを目指しました。
人的なサポートを市民ボランティアが行えるうちに
私たちは社会基盤整備を進めなければなりません。
20年経つと私たちは高齢者の仲間入りです。
その時の街が高齢者を中心軸に置くことが出来ていたら、
地域経済は同じ中心軸を持つでしょう。
地域のさまざまな産業が人口の絶対多数にターゲットを定めます。
結果として地域に生活するほとんどの人が
地域福祉にかかわりを持つことになります。
それは現在、市民ボランティアが行っているようなものではなく、
とても自然で当たり前の生活になっているはずです。
その地域の全ての年代が、当たり前に生活を営むこと。
これが福祉住環境整備を行ったまちづくりの目的なのです。
福祉を意識することなく自然な認識になる。
そこに福祉住環境整備の面から関わっていく専門家集団
それがFJC.Nでありたいと思っています。
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