第228回
自己的を認める
アドラー心理学の面白いのは人の自己的な部分を認めるという点です。
人はもともと自己的であり、自分を良くしたいと願います。
しかし、人は1人で生きている訳ではありません。
自己を実現しようとするには、まわりが動かなければなりません。
そこでまわりに働きかけますが、まわりの個も同じように自己的です。
うまく関係を作れれば、自己実現は可能になりますが、作れなければうまく行かないでしょう。
この関係が共同体感覚であるというのです。
人に自分の考えを押し付けることは支配することです。
支配では良い共同体感覚を作ることは出来ないと諭します。
良い共同体感覚を築けるように援助することこそ重要であるということです。
ここに私は人のために滅私奉公するといったエセボランティアリズムはなく、
あくまでもお互いの利害の一致を得るという自己的な発想こそが現実的なのです。
自己を隠し、ひたすら人のために援助すると公言している人の多くは
実は援助しているのではなく、支配していることが多かったりするのです。
ほかの人を支配することなく援助するというのは自己を実現するもっとも近道であるといえます。
ネットワークの活動を自己実現の為に行う人は間違っていません。
ただ、自分だけが良ければという事ではネットワークは拡大しませんし、自分は自分であるだけです。
ネットワークの活動が大きくなってくれば、それだけ自分にも効果は跳ね返ってくるのです。
ネットワークを大きくしたければ、会員が活発に活動することを支援しなければなりませんが、
それが会員への支配になってしまうと、よい共同体感覚を得ることは出来ません。
ここにお互いの目的の一致が重要となります。
ネットワークの目標とするところと、
会員の自己実現の目的を一致させることが重要ということですね。
良い共同体感覚をもち、お互いを援助しあうことが、結果として自己実現に繋がる。
理解するけど、なかなか実践できないところです。
子育てもネットワークの運営も、人の関わりをうまく行うというのは個々の努力が必要なのです。
|