第227回
共同体感覚
アドラー心理学の考え方で重要なのは「共同体感覚」だそうです。
「共同体感覚」というと全体主義的なイメージをしてしまいますが、
@他者を支配しない
A他者に関心を持ち相手を援助する
というルールの上での「共同体感覚」ということになります。
例えば登校拒否の子供を抱えている親が居ます。
親としては当然、子供に学校に通って欲しいと思いますが、
子供は学校に通いたくないのです。
この場合、家族間の「共同体感覚」が欠如していると考えます。
なぜ親は子供に登校を勧めるのか?
もちろん子供に十分な教育を受けて欲しいし、
もしかしたら世間体を考えているかもしれません。
しかしこれは親が子供に対して押し付けている思想です。
子供はむしろ学校に対してその価値を感じていないのですから、
親と子の利害は不一致しています。
「学校へ行かないと、立派な大人になれないよ。」と、
親は子供を諭すかもしれませんが、
学校へ行かないということと立派な大人になるということは関係がありません。
子供を立派にしたいというのが目的なのか、
学校へ行かないということを問題にしているのか、
子供の立場で考えると学校へ行かないと立派になれないという脅迫であり、
これは親が子供を非論理的に支配しようとする行為であると考えます。
重要なのは子供の自発的な要求なのです。
子供の自発的な考えとして、学校への登校を要求したとき、親はそれを支援します。
このとき、家族は目的の一致を得、
そこで初めてこの家族は「共同体感覚」を得たということになるのだそうです。
「共同体感覚」はこの場合家族の関係です。
子供の登校拒否を直すには、まずは家族の関係を見直すことです。
親自身が学校をどう捉えているのかを見直す必要があるだろうし、
その真の有効性を理解する必要があります。
人を理解しようと思ったとき、次の4つの原理をおさえる必要があるということ。
1. 人間を分割できない全体として把握し、理性と感情・意識と無意識などの対立を認めないこと(全体論)
2. 行動の原因でなく目的を理解しようとすること(目的論)
3. 客観事実よりも、客観事実に対する個人の主観的認知のシステムを重視すること(認知論)
4. 精神内界よりも個人とその相手役との対人関係を理解しようとすること(対人関係論)
今までの心理学は人の内面を因数分解して理解しようとしてきました。
しかし、アドラーはそうしたフロイトやユングの発想とは一線を画し、
私にはとても理解しやすいものです。
もちろん、正しく理解しようとすると、相当の学習が必要そうですが。
ちょっと心理学を学んでみるのも面白いですね。
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