第21回
継続可能であること
ネットワークを立ち上げる際、
そのコンセプトとして重要視したひとつに
継続可能なネットワークであるということがあります。
介護保険制度の設立の意味も、継続可能な福祉です。
居宅介護支援事業者は自らの福祉サービスにおいて
その対価で事業を存続しなければなりません。
住宅改修を行う場合、
ケアマネージャーは理由書の作成を行います。
しかし、理由書の作成に対し、支払われる手数料は2,000円/件に過ぎません。
福祉住環境整備を行うには
問題点の抽出から始まり、目標の設定、方針の検討、工事、モニタリング
という具合に、多くのプロセスが必要になります。
この全てにケアマネが関与していたら、
わずか2,000円の手数料では経済的に行き詰るでしょう。
つまり、居宅介護支援事業としては
住宅改修は採算性の取れない事業ということになります。
これでは住宅改修が行われる訳がありません。
また、住宅改修を建築業者がビジネスとしてみたらどうでしょう?
こちらもかなりの工事のボリュームがあれば何とかなりそうですが、
例えば数本の手摺を取り付けるのに、
あの多くのプロセスを行っては経費倒れしてしまいます。
だから、最初はシルバービジネスのつもりで参加しますが、
手間の割に利益が取れないので、あまり積極的に取り組まなくなるのです。
福祉住環境整備は一人でまじめに取り組むと、
実は採算性が悪く、事業を継続しにくいのです。
では、どうやったら継続可能になるのでしょう?
ネットワークでは仕事をシェアすることで、その解決を図っています。
利用者を観察し、問題点を抽出するという作業はもともとケアマネの職務です。
ですから、他の職域がこれを行う必要は無いでしょう。
現地を調査し、環境因子としてのデータ集めはケアマネが行うより、
建築の専門家が行ったほうがはるかに早く正確に行うことが出来ます。
実際の施工は施工業者が行うのが当然的確な訳です。
作業を一人で行わず、シェアしあうことで、
おのおのがその専門分野で経費を捻出することが可能になるのです。
もちは餅屋に任せる。
自分ひとりで仕事を抱えないというのが、
実は一番合理的な作業の進め方であり、
経済的に継続可能であるというわけです。
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