第140回
高齢社会の救世主はグローバル化
安藤忠雄氏の講演会で興味深かい話がありました。
日本はいまや世界最高の少子高齢社会を迎えています。
少子の若者の絶望的状況は前述の通りです。
彼らがこれから高齢社会を担ってくれるのだろうかというのはとても不安です。
少子化問題は日本の労働力の低下と介護力の低下を意味します。
つまり、国力の減退と高齢社会問題に直結するのです。
高齢者問題を考えるときには同時に少子化問題を考えなければなりません。
ところが日本は少子化に歯止めを掛けることが出来ません。
人的介護力の低下は誰にでも予測が出来る事態です。
人的介護力の低下を補うのが住環境整備であったり、様々な福祉用具、ロボットであろう。
このコラムの中で何回となくお話してきました。
安藤氏は講演会の中でグローバル化を唱えました。
若者が少ないのであれば、外国からの移民で補うしかないであろうというのです。
労働力の補充、介護力の補充として外国の若者を呼び込めばよいという発想です。
政府は移民問題に難色を示していますが、
そろそろ現実問題として捉えるべきであると提唱しているそうです。
しかし、心配すべき点も多いと言います。
アジアの若者はハングリーです。
このハングリーな移民に今の若者が押しつぶされてしまう可能性は大きいでしょう。
だから、教育を変えなければならない。
訳の分からない平等主義的な教育ではなく、もっと挑戦する教育にしなければ、
日本はグローバル化の波に飲み込まれてしまうだろう。
もっと感性豊かな教育を目指すべきであると、
瀬戸内海に浮かぶ直島のプロジェクトを交えながら訴えました。
実はアメリカがそんな状況の真っ只中に居ます。
アメリカ自体が移民の国なのですが、圧倒的に勢力を持つのがアングロサクソンです。
白人社会の中で有色人種を労働力として、
いわば国内に発展途上国を包括するように繁栄した歴史があります。
そのアメリカもアングロサクソンに関して言えば、
やはり少子高齢化社会が進んでいるのです。
彼らの将来は国内に増え続ける有色人種に委ねざるを得ない状況です。
エリート意識の強い彼らにとって、それはとても恐怖なのだそうです。
日本の文化的背景とは違うと思いますが、
やがて直面せざるを得ないであろう情勢です。
日本人ももっと強くならなければなりません。
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