第133回
敵を知る
今、ネットワークが行っている対策講座では医療的な分野の話をしています。
講師は建築士である私です。
本当であれば付け焼刃の私なんかではなく、
しっかりと専門的な知識を学んだ医師やそれに順ずる人にお願いしたいところです。
なかなか忙しいということで、しかたなく私が行っています。
しかしながら、この検定が目指しているのは医療の専門家育成ではありません。
あくまでも福祉住環境整備に関わる為の基礎知識です。
福祉住環境整備はさまざまな専門家が関わらなければ上手くいきません。
お互いの専門性を尊重する為にも、
お互いの専門分野の基礎知識を知ることは重要です。
そう割り切ると、なんとか私でもお話できるのかなという感じです。
先日の杖と手摺の話ではありませんが、
せっかく残存能力がどこまで回復するのかを医療サイドで目標立てしたのに、
その目標を目指すという作業を建築がきちんと受け止められず、
結局、屋外では車いすに頼ってしまう屋内歩行レベルにしてしまう危険があります。
脳血管障害がどういう状態の中で起こり、
結果としてどういう特徴だった症状、障害を残すのか?
また、リハビリによりどの程度の回復を見ることが出来るのか?
多少なりとも医学的な知識を持つことで、理解できます。
もちろん医療的な判断や処置は専門家に委ねますが、
その意図するところを理解すべき努力が出来るようになるのです。
解剖学的に人間を分解すると、幾つかの分野に分かれます。
総合病院の各々の部署がおおよそ、それにあたるでしょう。
人間の身体は加齢と共に老化し、絶妙なバランスで成り立つ各器官も
やがて崩れ始めますが、それが疾病として現れてきます。
そういった疾病と引き起こされる障害を知ることで、
その対応策を考えることが出来るようになります。
たとえ手摺一本でも、その設置には意味があるというのは
こういった知識を得ることで、ようやく理解が出来るというわけです。
ここまで伝えられれば、私の講義は成功といって良いと考えています。
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