第83回
実務はいろいろ
今、ネットワークでは実務登録制度の整備を行っています。
ここで言う実務というのは、別に住宅改修に限定している訳ではありません。
福祉住環境整備の実践にはさまざまな方法があります。
判りやすいのは住宅改修といった建築系の実務になるのかもしれませんが、
ケアマネは利用者の総合的なケアプランを作成しなければなりませんので
当然住環境整備の提案も行うことになります。これは福祉系の実務ということになるでしょう。
作業療法士も患者の症状の把握から、これからの生活の予測をたてなければなりません。
これも住環境整備を抜きには出来ないでしょうから、医療系の実務ということです。
教育者だって、教育を通して福祉住環境整備を行いますから、教育系の実務です。
行政職だって、タクシードライバーだって、なんだって福祉住環境整備の実践者なのです。
単に参加するだけではなく、自ら実務登録を行ってもらい、
地区例会のみならず、定期的な研修による研鑽を行う会員を
ネットワークとして自信を持って世の中に公開したい。
これが実務登録の意味なのです。
ネットワークに参加することは非常に簡単です。
福祉住環境整備への問題意識と地区例会への参加が満たされれば良いでしょう。
しかし、ネットワーク会員として、地域で業務を行っていただくためには
個々の専門性の上に、一定の知識(福祉住環境コーディネーター検定2級以上)を持っていただきたい。
これが実務登録の最低条件になります。
その上、年1回のフォローアップ研修を義務付けるというハードルの高いものです。
別にこのような面倒くさいことをしなくても個々の専門性による実務は出来るかもしれません。
しかし、ネットワークが持つ、幅広い専門的な知識を共有し、
協力し合うにはお互いを理解しあう必要があります。
こういう実務登録制度に立脚した実務者をネットワークは自身を持って公表していきます。
例えば実務の中で住宅改修という作業がありますが、
これは建築系実務者2名とケアマネが関わるというのがネットワークの基準です。
必要に応じ、医療系実務者などが加わる場合もあります。
建築系実務者は建築という専門性をもって住宅改修に関わります。
建築系実務者は設計と施工に大きくわかれます。
設計者は現場検証から図面の作成、行政との折衝を受け持ちます。
施工者は実際の施工を受け持ちます。
医療系実務者は医療という専門性をもって住宅改修に関わることになります。
例えば作業療法士は、対象者の身体状況から適切な改修部分の指摘を行うのです。
ケアマネは利用者に住環境整備の必要性を感じた場合、
こういった専門家を利用すれば良いのです。
ネットワークに登録された実務者は
さまざまな実務の場面で、協力し合い、利用し合い活動します。
チームの構成は自由に変化します。
求められる問題に対応できる専門家集団を提供すること。
これが実務登録制度創設の意味なのです。
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