第76回
ネットワークが法人格を持たない訳
ネットワークも大きくなってきたのでNPOにしませんか?
こういう議論が時々、役員会や例会で聞かれます。
その都度、検討はするのですが、いつも法人格は見送りになります。
法人格を持つことのメリットは何でしょう?
NPOとして社会的に認知されやすい。
代表が代わるたびに、通帳を作り直さなくても良い。
科目計上出来るので寄付がしてもらいやすい、経費が認められる...
たしかに良さそうなのですが、その分、事務局の整備とか経理的な仕事が増えます。
当然、その経費を捻出しなければなりません。
入るお金と出るお金のバランスが大変なんです。
もし、ネットワークがNPOになったら、
事務局の常設ということで人件費や家賃、光熱費といった固定費が発生し、
その経費を捻出するために、事業を行って利益を出さなければなりません。
いくら非営利とはいえ、お金は通常の事業所と同様に掛かってしまうのです。
例えば、現在 住宅改修といった実務は、実務登録した会員が各自で行っていますが、
実務を行った会員から、一定の事務経費の納入をお願いしなければならないでしょう。
または、NPOそのものが実務を受注し、経費を差し引いて、
会員に仕事をやってもらわなければなりません。
もし、介護保険を適応する工事の場合、
これらの経費を保険から捻出することは認められていません。
別途、利用者からご負担いただくか、工事費に経費を含め、請求するしかないでしょう。
いつも問題になるコーディネーター料金と同様の話です。
コーディネーター料金も結局は利用者から別途負担は厳しいので、
工事費や福祉用具の金額にその料金を含めて請求しているのが現実でしょう。
NPO化しコーディネーター職を仮に認めると、
事務経費とコーディネーター経費を工事費に含めて請求することになります。
その他に実際に工事に当たる業者も請求金額に利益を当然含めます。
おそらく利用者には、請求の際、こうした事務経費、コーディネーター料金、
業者諸経費という科目は計上されていない、
いわばオブラートに包んだ状態の請求書があがるでしょう。
なにかいやらしくありませんか?
そこで、ネットワークではそういう実際に掛かる経費を明確化しているのです。
オブラートに包んだ話のほうが耳にはあたりが良いのかもしれませんが、
利用者の利益を考えたら、こういう話はきちんとしておいたほうが良いでしょう。
ネットワークは法人格を持たない、任意の建築系福祉ボランティアです。
ネットワークの運営費は会員から頂く年会費2000円の他は、受益者負担です。
実務に関しては、その実務部分に純粋に掛かる経費だけで完結し、
余計な事務経費は掛かりませんし、コーディネーターとしての知識は担当する専門家が
持っていますので、コーディネーター料金が掛かることもありません。
それだったら、NPO化しないほうが利用者には良いじゃないという事になるのです。
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