第71回
お金の話したっていいじゃない
例会で仕事の話をすると嫌な顔をする人がいます。
なんでここでお金の話をするんだという目線が飛んできます。
「福祉」という清らかな話をしているのに、
お金なんて汚らわしいと訴えてくるようです。
福祉住環境整備には現実にお金がかかります。
そして、実践する為には業者の力を借りなければなりません。
業者は商売を通して生計を成り立たせています。
だからお金の話はどうしたって避けることは出来ません。
当たり前の現実なのですが、どうも受け入れられません。
実際に福祉住環境整備を実践していくと、
あまりに建築が福祉住環境整備を理解していないという現状があります。
また、福祉も建築ということを理解できていません。
お互いの理解が足りない、言葉が足りないという現状が
結局利用者に迷惑をかけてしまいます。
だから、共通の認識、言語が必要なのです。
ネットワークは福祉住環境コーディネーター検定にそれを求めました。
また、自己完結的な工事は危険なので、複数会員が関わったり、
事例を例会で公開することで、いろいろな検討を行い、
より間違いの少ない福祉住環境の実践を目指したのです。
福祉住環境整備に関わる人たちは、すべてプロです。
福祉分野、医療分野、建築分野、行政、どの分野の人たちもその専門性で糧を得ます。
その専門性においてお金がかかるのは当たり前なのです。
ただ、別にお金がかかるからと言って、ここで利潤追求している人も少ないのです。
大抵の会員はちゃんと生計を得るための専門性を持っています。
ですから、この活動は利益を追求することではなく、
これからの時代をどうやって自分の専門性をもって福祉に関わるか
という意味合いの方が大きいのです。
ネットワークでは専門家がすこしづつ関わるということで、
反対にお金がかからないようにしています。
むしろ、福祉住環境整備そのものを職業にしている人の方が
そこに利潤を追求しないと職業として成り立たないのでしょう。
どちらにしてもお金という問題を無視して住環境整備はないのです。
ただ、なるべく個人に負担をかけたくありません。
そこで介護保険において、一定の工事、一定の金額まで保険金の請求が出来ます。
市町村の助成金制度も同じです。
それでも厳しい人には生活保護という制度も確立しています。
福祉住環境整備に専門家が関わり、
それによってお金がかかることは別に不思議なことじゃない。
それより、お金をかけるのだから適正に行われなければならない。
そろそろ、そういう話にしていきませんか。
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