第67回
同じ人は二人も要りません
先駆者の講演を聞いた何人かの人は
感動し、そして感化されます。
まあ、別にどうでも良いのですが、たまにずれている人がいますよね。
その人に傾倒するあまりに、まったくのコピー状態になってしまう。
しゃべる内容もその人の本のまま。
でもコピーには先駆者のオーラは感じられません。
先駆者が先駆者である理由はただひとつです。
独創的な発想で唯一実践をしたから。
そういう人は、次には他の独創的なことを模索しているから
いつまでも先駆者であり続けます。
講演会で話す内容や、書籍の内容は彼がやってきた過去の話です。
でも聞く人にそういう発想が無かったら、内容は新鮮に響くでしょう。
個人的には新鮮に思えても、社会的にはそれほど鮮度は高くありません。
過去にインテリアコーディネーターが華々しく語られた時代がありました。
マスコミには先駆者が登場し、花形職業として羨望を受けたものです。
いろんな学校が開設され、多くの人が学びました。
私も新潟に開講したばかりの
町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミーの1期生でした。
受講者のほとんどが女性でしたが、
卒業して、今もバリバリ働いている人たちは自分の道を開拓した人たちです。
でも、卒業者の多くは「町田ひろ子」という偶像にあこがれた人たちでした。
インテリアコーディネーターを職業として自立させるのは大変です。
デザイナーとは違い、コーディネートですから、ものは生み出しません。
インテリアをチョイスすることに対価を支払うような物件は相当高額な物件です。
バブルのころはそれでもメーカーや工務店でコーディネーターの肩書きで勤めていましたが、
そのほとんどは顧客サービスの一環としてのコーディネート業務であって、
特定のクライアントから指定されるコーディネーターになるのは大変なことです。
バブルが崩壊すると、一番最初にリストラにあうのが
こうしたお金を生み出さない部署です。
インテリアのコーディネート能力は当然必要とされますが、
それは設計部署がその能力を持てば良いだけで、
結局、設計としての専門性がない彼らは職を失います。
需要がありませんから、学校もどんどん閉鎖されていきました。
そんなかな、自分の道を開拓した卒業生は今でも元気ですね。
彼女たちは今やマスコミに取り上げられ、先駆者として活躍しています。
そんな先駆者に傾倒する人たちも多くいます。
でも、マスコミが必要とするのはそんなに多くの人ではありません。
だから、その先駆者のコピーをしても誰も相手にしないでしょう。
単なる自己満足で終わる可能性が大きいといわざるを得ません。
結局は何をするにしても、自分を見失ってはいけないでしょう。
どこで自分を開花させるかはあくまでも自分の問題です。
人の作ったレールで走るのか、自分でレールを敷くのかは自分で決めなければいけません。
先駆者の歩んだ道をコピーしても、前を走る彼を抜くことは絶対出来ないのです。
先駆者とは自分でレールを敷いていった人であり、
だからこそ、社会から必要とされるのです。
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