第61回
青年建築士研修会
毎年、今頃になると全国の建築士会では青年建築士研修会が行われます。
若手建築士が日ごろ建築士としてどういう意識を持ち、
社会とかかわりを持っているかを発表しあうのです。
県内の研修会で選抜された発表者はブロック大会へ出場し、全国大会へと進みます。
私も3年前はあの壇上で発表していました。
私のときは県の大会では「家の記憶」をテーマにしてみました。
このコラムにも書いた内容です。
建築士として、家族の記憶を中断させるのではなく継続する努力は必要だと訴えたのです。
私の発言は多くの青年建築士が支持してくれ、県の代表になりました。
関東甲信越ブロック大会は筑波で行われました。
ここでは「家の記憶」を進化させ「街の記憶」というテーマで論じています。
大会前日に筑波に入り、国道沿いの風景をカメラに収めました。
発表のとき、私の地元三条市の国道沿いの風景と、筑波の風景を並べ、
大型店舗の立ち並ぶ二つの国道沿いの風景に
「ちいき」としてのアイデンティティはあるのかと説いたのです。
建築士は創造するのが仕事です。
しかし、新たに作ることばかりに目が行き、今までの記憶を断ち切っているのではないか?
その結果、顔のない町並みを造ってしまったのではないだろうか?
この話は多くの共感を得、ブロック大会でも選抜されました。
新潟県から全国大会へ選抜されたのは新潟県建築士会では史上二人目の快挙でした。
さすがにこれは地元紙、新潟日報でも掲載されました。
そして、全国大会。
全国大会は鳥取で行われました。
関東甲信越ブロックは、全国のブロックの中ではもっともレベルの高い地区です。
そこの代表でしたから全国大会に対する気負いはありませんでした。
ここではちょうど立ち上がったばかりの「FJC.N」のお話を
今までの「ちいきの記憶」とあわせてさせていただきました。
FJC.Nの目的は「ちいきの記憶」です。
私たちは記憶という作業を忘れてはいけない。
記憶を紡いでいかなければいけない。
福祉住環境整備はちいきで生活することです。
この発表のあと、ネットワークは県外に広がっていきました。
あれから3年、今年も青年建築士の代表はブロック大会に向けて情報を発信します。
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