第6回
住宅改修の意味
住宅改修とリフォームが違う点を
認識している人はどれくらい居るでしょうか?
リフォームはその名のとおり、
建物の一部または大部分を作り直すことにその目的がありますが、
住宅改修において建物に手を加えることは
目的を達成するための一部に過ぎません。
住宅改修の目的は
住宅改修を必要とする人(対象者)の
日常における生活の自立です。
対象者の状態の把握が重要になります。
状態の把握の次には生活動作を妨げる問題の抽出を行います。
この問題の解決の方法を住環境の側面から解決する作業、
これが住宅改修なのです。
トイレの改修工事の相談を受けたとします。
この場合、どんなことを考えるでしょうか?
和式便器だったら洋式便器への交換があるかもしれません。
手摺の設置も重要です。
出入り口の扉の変更だって考えられるでしょう。
もし、こういった物による改修を最初に考えたとしたら
住宅改修としては失敗する確立が高いと言わざるを得ないでしょう。
この場合重要なのはトイレにおける日常生活動作の自立です。
対象者がどのような身体状況にあり、
どういうことがトイレでの行為に不都合なのかを最初に検証します。
またトイレだけでは不十分で、
対象者の寝室や日中の居場所の確認も必要です。
多くの場合、トイレ自体の問題と同じくらい
トイレと寝室との位置関係に問題があることが多いのです。
こうして現場検証と問題の抽出がしっかり行われて
住宅改修の方針が決定されます。
これら一連の作業を一部の業者だけで
行うことは可能でしょうか?
ネットワークでは住宅改修の相談を受けたときは
必ず対象者が利用している居宅介護支援事業者へ話を戻します。
担当しているケアマネと一緒に、住宅改修の方向性を探るためです。
対象者の日常を観察できるのは、ヘルパーや訪問看護士です。
そして、彼らをマネジメントするのがケアマネですから、
建築業者が初めから検証するより、ケアマネと一緒に作業を行うほうが
はるかに有効です。
ケアマネには施工後の検証もお願いします。
住宅改修の目的は物を取り付けることではなく、
目標とする動作の自立だからです。
もし、有効に改修が機能していないときは、
再度 検討しなおしその対処を行うことも必要です。
こういった対処に関しても責任を負う気持ちがないと
住宅改修は行えないのです。
もちろん、再工事を行わなくても良いように
事前の検証をしっかり行うことが重要です。
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