第34回
雪国の公共交通−雁木
雪国の街並みを特徴付けるのが雁木です。
もともとは商店街が各々の店の軒先を提供し、
街の人の冬の歩道を確保しました。
近代的なアーケードに変貌したり、
その形そのものを無くしてしまっている雁木ですが、
今、街づくりの象徴として見直されています。
公共交通機関と歩行が移動の一般的な手段であった時代、
雁木は無くてはならないものでした。
しかし、交通手段が自家用車に移ると、
駐車場が必要になり、乗り入れのために雁木は切り取られます。
また、交通量が増えると、道路拡幅の為に建物は後退し、
いつの間にか雁木が無くなってしまいます。
住居が郊外に移り、移動が自動車になったことで、
中心市街地の歩行者は激減しました。
それでも郊外型店舗が進出する前は、路上駐車か、店の駐車場に車を留め、
直接、目的の店に行きました。
街は歩く喜びを失い、人と人の交流が薄れていきます。
もともと自動車で移動するには不便な街は
大規模店舗が郊外に現れるや、あっという間に客を失うことになるのです。
雁木を失い、車中心の道路になった中心市街地は
寂れる一方と人は言いますが、
実は最もインフラ整備されている地区でもあります。
中心市街地が不便なのは移動手段が自動車だからですが、
自動車を運転できない層には案外快適なのです。
そして福祉が街におりて来ると、確実にその層は増えていきます。
今こそ、雁木は復活する時期ではないでしょうか。
雁木が無い自動車中心の道路は雪が降ると歩けたものではありません。
たとえ歩道になっていても、そこに除雪した雪が積み上げられているのですから。
雁木は雪国では人と街を結ぶ重要な公共交通です。
|