第263回
狙われる高齢者世帯
市の社会福祉協議会から相談がありました。
担当している高齢者世帯が訪問販売の被害にあっているというのです。
この2年にわたり、10回以上のリフォームを繰り返し、
総額1500万円も支払い続けたそうです。
そのお宅の世帯主は軽い痴呆の症状があり、契約時の判断能力がどうであったかが不明です。
昨日は東京に嫁いだ娘さんが同席し、実際に行われた工事の内容の検証を行いました。
工事内容に関しては、価格が高いとは言え契約内容どおりの施工です。
ただ、その家をトータルで考えてくれている訳ではなく、
家のパーツが単に新しくなっただけで、なにも快適性が向上しているようには見えません。
本当にこの工事が必要だったのか、どうしても頭をひねってしまいますし、
今まで出した金額をかけたらかなり快適な環境を作れただろうにと思うと悲しくなります。
結局、その業者にカモにされたということでしょう。
彼らは別にお客のことを考えるということではなく、
単に自分の成績を上げるために利用しているのです。
こうした営業マン同士の情報はいろいろなところに広まるように、
やがて、様々な業者が訪問を始め、工事を進めていきました。
確信犯的なのは、工事の契約と支払いの契約を別にしているというところです。
全て、現金一時払いなのですが、系列のクレジット会社を通させます。
こうすることで、工事の契約に対するクレームをぶつけても、
お金を支払わなければ、善意の第三者であるクレジット会社から請求が着ますが、
こちらは工事内容に対するクレームには関与しないので、
支払わなければ加害者扱いされてしまうのです。
工事業者はその間、のらりくらりと話をはぐらかし、やがて営業マンも辞め
うやむやになってしまうという状況です。
たしかに契約書にも印鑑を押し、ご丁寧にも工事途中の確認印も押しています。
無防備な高齢者に、周到な手口で金を引き出すという行為は卑劣きわまりませんが、
工事そのものの金額は別にして、たしかに行っているという事実からなかなか訴訟は難しそうです。
契約能力がそのときあったかというのが多分焦点になるでしょうが、それを証明するのは難しいでしょう。
とりあえず、未だにそうした営業がやってきて、先日も訳の分からない屋根工事が行われ
また50万ものお金が支払われてしまっていました。
まずは青年後見人制度の申請を行わなければならないでしょう。
これらの工事を行っているのは、TVでCMを行っている有名な会社です。
TVで流れているから良い会社ではないのです。
今後、こういう事例が多くなってくるでしょう。
これまでは東京あたりでの話と思っていましたが、こんな身近で現実の話としてあるのです。
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