第260回
欲
建築士設計製図講座もいよいよ大詰めになってきました。
毎年のことなのですが、
最後の最後に来て、急激に力を上げてくる人がいます。
到底今年の合格は難しいかなと講師サイドから見てもそう思える人が、
メキメキと力をつけ、ハードルである図面の時間内作図をこなしてしまいます。
こういうタイプの人は勢いがつくと止まりません。
あれよあれよという間にボーダーラインに浮上してきます。
1次試験の合格という現実と、あと2週間しかない受験勉強の期間の現実
これに潰される人と伸びる人の差はやはり欲でしょうか?
人間は欲望の生き物です。
時としてそれが悪い方向に出てしまいますが、
受験勉強に関していえば、やはり貪欲は力です。
特に最近の学生に貪欲さを見つけることが難しいと思います。
こちらは合格できるように必死に教えるのですが、
当の本人は、まるで他人事のようです。
図面なんて結局は描いた枚数に比例して向上するものですが、
授業中の課題を完全に完成させない。
宿題をやってこない。
特に近年、こうした傾向が目に付きます。
図面は完成させてはじめて1枚描いたといえます。
そうした枚数が力になります。
未完成の図面は何枚描いてもゼロですから意味がありません。
前半まじめに取り組んだ人は製図力が身に付いていますから余裕です。
後半の授業では設計力と完成度の向上を目指します。
こうした勝ち組は上位20%くらいでしょうか?
そして残りの80%の人たちの半分くらいはボーダーです。
やれば決して力があるのですが、それをきちんと発揮しない。
チャンスがあるごとに講師は繰り返し重要なポイントを伝えますが、
全然それに答えてこなかった人たちは、いまさらながらその現実が身に染む頃なのです。
ここで勝ち組に残れる人たちのキーワードは欲です。
やはり欲の無い人は弱いです。
現実にはもう残された時間はありません。
貪欲に勉強しても勝ち組の最後に食い込めるかどうかです。
それでも自分の欲望のまま、勉強するだけの価値は十分あると思いますよ。
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