第250回
嫉妬
浅草のホテルで朝、ゆっくりと新聞を読んでいました。
ちょっと面白いコラムが書いてあったのでご紹介します。
嫉妬には二つの種類があるのだそうです。
通常わたしたちが意識する嫉妬とは「ジェラシー」と呼ばれるものです。
こちらは目的にする相手に対し、「あの人のようになりたい」「あいつには負けたくない」
という感情を示すものです。
これはどちらかというと自分の実力を伸ばそうとするポジティブな嫉妬です。
嫉妬をバネにして自分を大きくすることが出来る可能性があります。
しかし、最近増えているのがもうひとつの嫉妬「エンビー」なのだそうです。
「エンビー」なんてはじめて聞きましたが、読んでいるとたしかにあるあるという感じがしました。
うらやむだけで、自らの力を伸ばそうとはしない。
かわりに相手の足を引っ張ったり、悪口を言ったりすることで、自らの立場を優位にしようとする。
まったくネガティブな嫉妬です。
日本の社会はバブル崩壊後、この「エンビー型嫉妬」が蔓延しているのだそうです。
たしかにいつの頃からか、すっかり日本は世界の中で負け組み意識が定着してきました。
先の見えない不安から「エンビー型嫉妬」に逃げてしまったり、
戦わないで始めから負けを認める人が増えているのかもしれません。
安藤忠雄の言う絶望的な人です。
嫉妬するというのはまったくノーマルな人間の感情です。
しかし、その嫉妬のベクトルをどの方向に持っていくかで随分違ってきます。
人間が感情の動物である以上、聖人のようなことばかり言っていてもリアリティはありません。
やはり感情は表現すべきだし、学ぶものは学び、反省すべきは反省しなければなりません。
そして自分を一回りも二回りも大きくし、反対に人から嫉妬されるくらいになれば良いのです。
嫉妬されるなんてある意味、すばらしいことです。
私もどうせ嫉妬するならポジティブにジェラシーで行きたいと思いました。
嫉妬に興味を持った方は、「嫉妬学」(日経BP)をお読みになると良いでしょう。
さて、ようやく東京から戻り、今日は建築士養成講座の区切りの模擬試験です。
前半の目標は時間内作図です。
受講生が目標を達成してくれると、講師もうれしいものです。
受講生同士、ジェラシーを感じながら、切磋琢磨して頑張って欲しいものです。
建築士試験まであと3週間です。
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