第23回
福祉住環境整備は人の為ならず
日本の人口は今後も増加し続け、
2025年でピークを迎えると予測されています。
そのときの高齢化率は25%で、4人に1人が65歳以上の高齢者です。
2050年では人口は減少しますが、出生率も低いので
高齢化率は30%と超高齢社会です。
高齢化が社会問題化してからの日本は
さまざまな対策を講じてきましたが、歯止めはかけられませんでした。
20%を超えようとして、既存の社会システムは崩壊の危機に瀕しています。
2000年に施行された介護保険制度は、
これまでの福祉のありようを根底から変革するものでした。
これまでの保護・収容的な福祉から社会全体で支える福祉への変革です。
地域社会で福祉を支えるためには
高齢者や障害者が安心して住める住宅の整備をはじめ、
街での生活を保障する交通などの基盤整備が必須です。
介護保険における住宅改修費の支給をはじめ、
特定建築物に対してはハートビル法
高齢者のための住居確保のための高齢者居住法
家から街への連続性を確保するための交通バリアフリー法などが
現在施行されています。
残念ながらこれらの社会資源は短期間で整備できるものではありません。
ですからそれまでは、人的に補わざるを得ません。
今はまだ5人に1人の高齢者です。
今までの福祉関係者だけでは無理でも、
社会全体が関われば何とかなるでしょう。
だから今、ちいきに生きる私たちは
何が出来るかを考える必要があるのです。
現在の不況だって、社会の中心軸が動いているのに
それに対応できないからかもしれないのです。
そして今から20年後、45歳以上の人は高齢者の仲間入りです。
明らかに社会全体の介護力は低下しているでしょう。
その時、もし基盤整備がなされていなかったらどうなると思いますか。
福祉の最前列にいる人たちは目の前の高齢者の対応で余裕がありません。
しかし、冷静に考えてみてください。
福祉住環境整備は人の為ならず
実は今、街に目を向けないと苦労するのは自分たちなのです。
街に住む私たちも何が出来るかを考えましょう。
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