第219回
刑法と医療行為の関係を知っていますか
日本の法律では人を傷つけたり死に至らしめる行為は
刑法により傷害罪として処罰されます。
これくらいのことは誰でも知っている事実です。
しかし、意外と知られていないのが医療行為です。
医療行為も人を傷つけたり、場合によっては死んでしまうことがあります。
ですから、医療行為も刑法の対象になるのです。
ただし、医療行為は人を傷つけ死亡させるのが目的ではありません。
あくまでも人を生かすための行為です。
ですから、刑法上も法で定められた免許を持つものが同意を得て行う行為にのみ
その限りではないとしています。
医療従事者はもちろん医療行為が刑法にも
規定されていることを十分頭に入れているでしょう。
自分たちの行う行為の重さを常に頭に入れておいて貰わないと
安心して私たちの体を任せることが出来ませんから。
私たちの知らないところでいろいろな行為が
法律で管理され守られているという訳です。
法の全てが正しいとも時代にマッチしているとも言うつもりはありませんが、
基本的に法律は日本国憲法の精神の元に制定されているはずであり、
国民の健康、社会福祉に寄与するものであるのが原則です。
現在、多くの施設で善意のもとに違法な医療行為が行われているそうです。
回りくどい言い方ですが、要は爪切りとかちょっとした刃物を使った行為です。
自宅では子供たちにいつもやってあげている行為だから
それくらい別に目くじらを立てなくたって良かろうという意見は多いでしょう。
しかし人を傷つける危険のある行為である以上は、
やはりそれなりの意識の元に行って欲しいと思います。
それくらいいいじゃないという発想はそもそもプロ意識の欠如です。
救急救命士の行う医療行為もしばらくは緊急を要するはずなのに不自由なものでした。
しかし、さまざまな議論の中、救急救命士法を改正し、
行われる医療行為の幅を広げるとともに必要な知識や技術の取得が義務つけられました。
もし施設で医療行為を行うのであれば、やはり福祉関係者もその行為を行うための
資格取得か自分の職域における医療行為の可能性の議論を行う必要があるでしょう。
慈善保護が前面に出ていた福祉から、社会システムにおける職業としての福祉へ
時代の流れは大きく変わりました。
利用者が求めているのはプロ集団による福祉社会の確立なのです。
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