第211回
人生の岐路
昨日は社会人向け建築士養成講座の総合打合せと懇親会が行われました。
この日曜日からいよいよ約2ヶ月にわたる集中講義が始まります。
私の夏も終わりましたという感じです。
懇親会の席でいままで事務局を勤めてくれた阿部君の退職が伝えられ、
一転、彼の送別会になりました。
阿部君と最初に出会ったのは7年前です。
学院の営業で事務所を訪ねてきたのです。
営業にしては随分線が細く、学生を集めることができるのかなと不安になったものです。
私は当時、他の専門学校の講師をしていました。
その事を知った彼は、学院の講師に欠員が出たときに、私を推薦してくれたのです。
私が建築士の試験対策に通った学校でもありますから、
母校に返り咲いたということになります。
その後、阿部君も営業から運営スタッフに代わり、事業運営の手伝いをしてくれました。
以来、5年間、暑い夏を一緒にすごしてきた仲間です。
そんな彼も34を前に人生の転機を迎えることになりました。
考えてみると私が事務所を設立した年齢も同じくらいです。
なにか目標を見つけたのなら、ちょうど良い年かもしれません。
20代でがむしゃらに頑張って人脈をつくれた人はそれを資本に出来ます。
30代は資本を元手にどんどん増やす時期と思えば、一番良い時期なのです。
実際、私もそうして若い頃から付き合っていただいた人から随分助けてもらいました。
阿部君もそんな波を感じたのでしょうね。
ただ、現状が嫌でその逃げ道を探しているのなら、やめておいたほうが良いでしょう。
どうせまた新天地で逃げ道を探すことになりますから。
自分の人生に疑問を持たない人は余りいないでしょう。
本当に自分の歩んでいる道が正しいのか、いつも気になります。
そんなときはまず一歩踏み出してみることです。
そしてやばいと思ったらすぐ撤退すれば良いのです。
1段上がると見えてくる新しい風景は必ずあるのですが、その一歩が踏めない人が多いのです。
そんな人は見えない風景を想像し、一歩を踏まないことの理由を考え自分を正当化します。
人生の転機はいつだってあると思いますが、
やはり旬な時期はあるものです。
今教えている建築士資格だって、資格は取ってからがその世界の初心者です。
資格習得後のキャリアが重要なのです。
いつまでも一歩踏めない理由に「資格」習得中などという人がいますが、
まずは一歩踏み出して、すこしでもその道に近づくのが正攻法です。
「資格」はその後に勝手に付いてくるものです。
若い頃なら理解しますが、いつまでもモラトリアムというのも困ります。
40過ぎてからの転職は管理職としてのヘッドハンティングしかありません。
それにはやはり実績が重要になりますから、
まずは現状にしっかり足跡を残すことが肝心です。
自分で一歩を踏む出すにせよ、自分を求められるような人材になるにせよ、
いつまでも自分の姿が見えないでは駄目でしょう。
今日のコラムを阿部君へのエールとして送りたいと思います。
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