第210回
まず一歩
地区活動の停滞しているところのいくつかは地方自治体との連携がうまくいかないと嘆きます。
アプローチしても相手にしてもらえないというのです。
人だってそれぞれですから、自治体毎に取り組み方は違ってくると思います。
たしかに個性はあるのでしょうが、拒絶されるということはないでしょう。
昨日もある自治体と話し合う時間をもてました。
介護保険では利用者は支援事業者と契約し、適切なサービスの提供を受けます。
その担当者としてケアマネージャーが存在し、彼らは生活上の問題点の抽出を行い、
さまざまな福祉サービスの利用計画、ケアプランを作成するのです。
利用者はどんな福祉サービスがあるのか良くわかりませんし、
自分の生活を客観的に観察することは難しいでしょうから、
このように客観的に観察してもらえるケアマネージャーと契約することは
介護計画を作成するときには有効なのです。
ところが、そこの自治体では市民の要望は自治体が受け止めるというスタンスをとっていて、
あくまでも市民が希望したことに対し、自治体はサービスを提供します。
利用者はケアプランを自分でたてなければなりません。
自己作成というスタイルは、
どういう福祉的社会資源があるのかを熟知していない利用者には難しく、
自治体の用意したいくつかの雛形から選択するというのが現実です。
レディーメイドのケアプランでは、1人として同じ利用者はいないので不備がでます。
そこで自治体ではヘルパーを多く抱え、人的介護力で補うという形を取るのです。
住宅改修もあくまでも利用者が希望したら、地元の建築業者に頼んで行うことになりますが、
このコラムで何回かお話しているように、単に手摺を取り付けることが住宅改修ではありません。
きちんとした目標設定とその方法論を明確化しなければ、
期待した効果を得ることは難しいでしょう。
福祉や医療の専門家が介在しないで、建築業者だけで行ってしまう自己完結的な住宅改修はとても危険なのです。
昨日の話し合いの中では、担当者もその辺の問題点はしっかり認知しておられました。
ただ、自治体のシステムを変えるのはそう簡単ではありません。
また、一部の業者を紹介することは立場上できないということです。
それはそうでしょう。
でも、別にネットワークは業者ではありません。
時間をかけてネットワークの考え方をお話させていただき、ご理解いただけたと思います。
現状のやり方では、自治体の持つサービスのみ利用者に紹介するというものですが、
これから「ちいき」はさまざまな職業をもつ市民が関わらなければ成り立ちません。
ネットワークはそうした市民が構成する社会資源です。
ネットワークは今後実務登録を通し、より高度な支援を目指していきます。
やはり、うまく利用していただきたいと思います。
自治体との話し合いは同じスタンスが重要です。
私たちは別に業者として受注活動している訳ではないのです。
地区の会員はその意識をきちんと自覚しないといけないのですが、
もともと行政にぶら下がる形で公共工事を請け負ってきたような人、
今だに「お上」なんて感覚の人が対応すると、どうもうまくいかないようです。
普通に話し合うことで今後の連携について前向きに検討することを約束してもらいました。
まず最初の一歩は足跡を残しましたので、地区会員はうまく二歩目に繋げてください。
そして最初の一歩がなかなか踏み出せない地区は私を利用してください。
いつでも要請にこたえる準備はあります。
|