第17回
ちいきの時代です(2)
中央集権の時代はお金も東京に集まるようになっていました。
地方で生産される物も一旦東京に集められ、
地方から仕入れた数倍の値段をつけて全国に配分されます。
本来、地場産業で成り立っていた経済も
東京からの魅力的なCMが消費者の購買意欲をとらえ
東京資本に屈しました。
地場産業は衰退し、製造業は自社ブランドを捨てて
東京資本の下請けとして生きることしかありませんでした。
しかし、景気の後退と中央集権の終焉は
経済のあり方も大きく軌道修正を迫っています。
デフレの中で東京の資本はよりやすく仕入れる必要が出てきました。
下請けで生きることに慣れた産業も、
海外からの製品の脅威にさらされています。
今は下請けで生きることすら困難になってきたのです。
今までの経済だって、多くのお金は東京に集められ、
そのおこぼれで生活していたに過ぎないのです。
それでも需要があったので、地方でもバブルの恩恵を得ることが出来ました。
そのお金が街で消費され、地域経済を作っていたのです。
地方分権の社会では、東京からのおこぼれを期待していてはだめでしょう。
これからの東京の資本は海外に流出します。
地域経済はそろそろ気がつく時期に来たのではないでしょうか。
かつてやっていたように、地域で生産して地域で消費する経済です。
地方でやすく生産された商品がガソリンを使って東京にストックされ、
また地方に分配されるという非効率なシステムは消費の拡大が前提です。
ならば、東京をカットすることを考えたらどうでしょう。
物量は減りますから、大きな会社には厳しいかもしれないけど、
下請けやっているくらいなら、やっていけないものでしょうか。
私は「ちいき住宅工房」を主宰していますが、
この工房で建てられる家は、大部分を地場の部材だけで作ります。
キッチンといった住宅設備だって、ちいきの若手家具デザイナーが製作します。
最近の家は既製品で組み立てられていますが、
この家は素材を加工して造ります。
手間はかかりますが購入するのが素材だけなので、
製造コストはあまり変わりません。
でも素材の代金は地場に落ちますし、手間賃は職人がもらえます。
同じ金額の家でも、東京を極力カットし、
多くのお金は地域経済に還元されます。
地域経済が潤えば、また仕事も発生するというからくりです。
このシステムは新潟日報社の「ハウジング新潟2002」で特集され、
順調に実績を積んでいます。
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