第152回
ちいきと地域
昨日、今日と柏崎商工会議所で検定対策講座を開催しました。
商工会議所はネットワークに対して友好的でしたし、
受講者のみなさんも大変意欲的な方々でした。
昨晩は商工会議所職員と石坂柏崎地区代表と3人で食事をしたのですが、
その際、商工会議所職員から質問を受けました。
コラムの中で地域という言葉を「ちいき」と平仮名で書いているが、
それは意識しているのかというものです。
彼はこのコラムの愛読者なのだそうです。
思いもかけない質問でしたが、
こうして読んでくれている人が居るというのはうれしいものですね。
「ちいき」と平仮名にしているのは彼の言うとおり、意識をしてのことです。
地域と漢字にしてしまうと単にエリア的な意味合いを連想してしまいそうな気がしました。
私はもっと広い意味をこの言葉に込めたかったので、あえて平仮名にすることで
読み手が自由に想像できることを期待したのです。
自分が生まれ育った街で知り合いに囲まれて生活することは幸せです。
人は記憶の生き物ですから、それが途切れてしまうのは恐怖です。
多くの高齢者が施設に入所していますが、
そこには今まで生きてきた歴史が記憶されていません。
また、そこに働く職員も他の市町村から来ていたりして、
高齢者の今までの歴史や記憶には興味がありません。
そこで高齢者の記憶は途切れてしまい、その途端に生きる意欲がなくなるのだそうです。
最近ではそういう弊害がしっかり認識され始め、
施設は高齢者の次の生活の場として、
しっかり今までの生活の記憶を継承するようにし始めました。
ユニットケアと呼ばれる少人数の集まりをひとつの単位とする特別養護老人ホームがあります。
これは施設の中に集落を作ろうという試みです。
施設は限りなく住宅に近づいているのです。
しかしどこまでいっても本物の生まれ育った街には適いません。
私たちは生まれ育ったこの街で仕事をし、日々を送っています。
私はやはりこの街で年をとりたいし、死にたいと思います。
「ちいき」をキーワードに、どういう風にこの街と関わりあえるかを模索します。
私は設計が仕事ですから、これからの時代をどういう風に「ちいき」と関わっていくかを考えるのです。
少子高齢化の問題もそのひとつ。
でも、それだけではない。
環境問題や経済の問題だって「ちいき」をキーワードに考えなければならないでしょう。
いろいろな人がいろいろな考えで「ちいき」と向き合わなければならない。
そんな想いが地域という言葉を「ちいき」と書かせるのでしょう。
今日は受講者の方からコラムを読んだと言われました。
勝手に書いているコラムもこうしていろいろな人に読んでもらえているのだと実感し、
ますますやる気になった柏崎の2日間でした。
柏崎地区は始まったばかりですが、
柏崎という「ちいき」を柏崎の人たちが是非盛り上げていって欲しいと思います。
今日も2人の方が入会してくれましたが、どんどん参加してみてください。
|