第151回

もっとも合理的な人材確保

有能な人材の確保は企業にとっては死活問題です。
学校での教育は実務に耐えないので、結局、企業が再教育をする羽目になります。
学校では教えてくれなかった社会の仕組みをようやく仕事を通して覚えるのです。
入社した全ての人が、その企業に適性があるということはないでしょうから、
何年かすると淘汰されていきます。
でも、企業にとって最初の数年は投資の時期でもあります。
入社したての社員に多くは期待できません。
生産性の悪い社員にお金を投資するのです。
それでも最近の若者は会社に対する帰属意識が薄いので、
3年もすると他の可能性を求めて退社するものも出始めます。
企業にしてみたらドブにお金を捨てたようなものです。
それでも何人かの有能な人材が残ってくれたら最高です。
会社というのは20％の有能な社員がいれば維持できるという話を聞いたことがあります。

昔は手に職を覚えようと思ったら、住み込みで働いていました。
腕も無いのに給料なんてもらえる訳も無く、
三度のご飯と寝床があるだけでも幸せです。
そんな中で、早く一人前に稼ぎたいと技術を習得していったのです。
企業もこんなことが出来たら最高です。
きちんと技術を習得した者にだけ対価を払えば良いのですから。
しかし、今どきそんなことをしたら人は集まりませんよね。
こんなのははるか昔の職人の話です。

しかし、実はこれを上回る画期的な方法で人材を確保しているところがあります。
それが専門学校なのです。
専門学校は生徒からお金を取って、教育を行っています。
専門学校も大手になると、それはもう巨大企業です。
ある大手専門学校では、学生に事務機を売るだけで会社をひとつ作ることが出来るそうです。
学生に対してプロバイダーも成立しますし、旅行代理店だって商売になります。
ですから、学校を軸にして多くの関連企業を持つことが出来るのです。
それらの関連企業には有能な人材が欲しいところです。
そこで専門学校の学生で有能なものに目をつけます。
専門学校では学生からお金をとりながら、2年間、学生の査定を行います。
そして使えそうなら、関連企業へリクルートする訳です。

社員教育を社員予備軍から金を取って行うというシステムは無駄がありません。
企業の人事担当が聞いたらさぞかし悔しがることでしょう。