第143回
継続することの難しさ
先日は久しぶりに訪ねたバーで残念な想いをしてしまいました。
なじみの店が変わっていくのはつまらないものです。
誰しもお気に入りの店というのがあると思います。
いつまでも変わらずに居て欲しいのですが、それが難しい。
お気に入りといえば、
与板の大判焼き屋さんは地元なら誰もが知っているであろう有名な店でした。
ここの大判焼きは大おばあちゃんが仕切っていて、
嫁や孫の出る幕はありませんでした。
いつも彼らの文句を言いながら大判焼きをせっせと作ります。
その大判焼きは粒あんとカスタードクリーム、チーズの3種類です。
とにかく具が多いのが特徴で、
チーズなんかこんなに入れて採算が合うのかなと心配するほどでした。
地元ばかりではなく、近隣市町村にも有名で、いつも行列の出来る店でした。
私も近くを車で行った際には必ず立ち寄って買っていました。
最初は文句をいうおばあちゃんに馴染めなかったのですが、
回数通うとそれがあの家族のペースなんだということがわかります。
お母さんは大判焼きを包んで、私にくれるとき、
「おばあちゃんには内緒だからね。」と言ってちょっとだけおまけしてくれたりします。
うまくお互いの関係を容認しながら生活していたのでしょう。
ある時(といっても何年も前ですが)、ひさしぶりに近くに寄ったので、
おばあちゃんの顔を見たくてお邪魔しました。
そうしたら、店の構えが新しくなっていました。
まあ、流行っていましたから、それくらいは出来るでしょう。
今までは道路まで人が行列を作っていたその店は、
待合の場所が大きくなってか、人は道路には出ていませんでした。
店に入ると大判焼きを作っていたのは、散々文句を言われていた孫です。
おばあちゃんの具合が心配になりました。
大判焼きの具は少しさびしくなっていましたね。
そのときはあまり気に停めてもいなかったです。
その後、またしばらくしてお邪魔したときには決定的でしたね。
店内にお客は居ませんでした。
買った大判焼きは保温されたもので、その辺で買うのと変わりませんでした。
この家族に何があったのかはわかりません。
でも、経営をめぐって骨肉の戦いがあったのかな?
これだけ流行っているのだから店を拡大しようという若手に
世代交代かとおばあちゃんが折れたのでしょうか?
でもお客はおばあちゃんの大判焼きを求めていたんです。
世代交代をした新しくなったこの店はどうなるんでしょう。
私はすっかりご無沙汰になってしまいました。
|