第14回
出会い系サイト
私が講演会でお話をさせていただく際、
このネットワークは出会い系サイトですと申します。
もちろん、いかがわしいサイトではありません。
福祉住環境コーディネーター検定という知識が仲介する
福祉・医療・建築のスペシャリストたちの出会いの場にしたいと考えています。
WHO(世界保健機構)が2001年に提唱した国際生活機能分類(ICF)では
障害の因子として環境も大きく作用しているとしています。
いままでは障害者および高齢者福祉は施設内で行われてきましたが、
介護保険やこれから行われる支援費制度では
社会参加することが重要であるとされています。
その社会参加を拒む因子のひとつとして環境があるというわけです。
こんな社会情勢の中で、居宅介護支援として
住宅改修が福祉事業として取り上げられました。
住宅改修は既存の福祉や医療の知識だけでは行うことが出来ません。
従来も作業療法士がリハビリ後の対応として住宅改修を行ってきました。
しかし、介護が前面に出ていたり、単に手摺といったパーツを取り付けるだけで
必ずしも楽しい住まいの提案にはなっていなかったと思います。
社会参加のための福祉住環境整備の基本は住宅改修にあります。
住まいが良くなければ、街へ出ることは遠い話です。
個々の住宅が、高齢者の障害になっていてはいけない。
それと同時に家族が楽しく住めなければならないのです。
施設みたいに手摺をそこらじゅうに取り付けた住まいではなく、
高齢者も日常生活者として家族の一員として生活が行えることを目的とします。
だから、住宅改修は対象者に処方するのではなく、
家族全体を捉える必要があるのです。
さりげなく住まいに手を施し、快適な住環境をつくりだすためには
やはり建築の知識が無いと不可能です。
「人が住まうということ」の意味を理解できなければ、
単なる処置になってしまいます。
福祉住環境整備はさまざまな人が実践を行っていますが、
だかだか検定のテキスト程度の知識を得たぐらいで
福祉・医療・建築の知識を網羅したと勘違いする人は
各分野で日々研鑽に励んでいるスペシャリストたちに失礼な話です。
ネットワークにはさまざまなスペシャリストが参加しています。
そして住環境整備には必ず複数の会員がチームを作って作業にあたりますが、
チームを作るにあたって、やはり会員同士の信頼が必要です。
ネットワークは受益団体ではありませんから、
会費を納めることで仕事が回ってくるということはありません。
会員になっても例会に参加しない人には、福祉住環境整備の依頼はないのです。
例会は月1回、各地区毎に行われ、会員はどの地区に参加することも自由です。
毎回参加し、議論していく中で、おのずとパートナーが見つかります。
その中でチームによる住環境整備が行われるのです。
これが出会い系サイトと呼ぶ所以です。
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