第131回
万葉の藤
妹が家に伊久里の杜の藤の花
大原高安真人(高安王)が詠んだと言われる万葉集の一首です。
「伊久里(いくり)の杜(もり)に咲いている藤の花を、
まためぐってくる春にも、こんな風に眺めたいものですね。」
こんな意味ということです。
藤の花は今が見ごろで、いろいろなところで楽しめていると思います。
藤といえば、藤棚を造って、
花が垂れ下がっているのを眺めるというのが一般的ですが、
三条市井栗の藤は欅(樹種はいいかげん)の大木に共生した状態で咲き誇っています。
その姿はまさに「この木、何の木」の唄に出てくる木のような感じです。
それが今の時期は藤の花でいっぱいになるのですから、一見の価値はあるでしょう。
私も知らなかったのですが、この藤の木が万葉集に詠まれていたというのです。
「井栗」という地名も昔は「伊久里」という趣のある字が充てられていたとのこと。
そんなに有名な木が、わが街に存在していたなんて、今まで知りませんでした。
案内板もようやく最近出来たばかりだし、
まわりもまったく未整備ですから、花の咲いている今の時期に来なければ、
さっぱり意識することも無かったでしょう。
こんなすばらしい財産を持っていながら、
全然資源としての活用をしない街も珍しいのではないでしょうか?
投機的な開発ではなく、心を豊かにさせてくれる環境の整備を望むところです。
40を過ぎてようやく知った、三条の歴史の片鱗ですが、
家に帰ってきて、インターネットで調べてみました。
この伊久里という地名に名乗りを上げているのは
奈良の横井村という説と富山の井栗村という説があるそうで、
どこにも三条の井栗は出てきませんでした。
歴史はロマンだから、どんどん名乗りを上げないとね。
ここの藤の木は十分、アピールにあたるものだと思います。
万葉の里を故郷に持つなんてすばらしいことじゃないでしょうか?
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